今回、7月11日より「大阪バイオレンス 3番勝負」と題し、『大阪外道』『大阪蛇道』『コントロール・オブ・バイオレンス』の3作をテアトル新宿にて、一挙上映する石原監督と、8月22よりキネカ大森にて、昨年に続き開催される「夏のホラー秘宝まつり 2015」にて公開されるホラー・オムニバスの続編『ABC・オブ・デス 2』に、世界各国の気鋭のホラー監督と共に参加している大畑監督の対談を敢行。大いに語って頂いた。
(文・構成: 川端哲生)
大畑: たぶん、石原監督とは夕張(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭)でしか会ったことはないと思うんですけど。
石原: 他の地では会ってないですね。雪の中で語ってるか、夕張の酒場で語ってるかしかない。大畑監督が『へんげ』の上映で来てた時が初めてだったかな。『大阪外道』でグランプリを頂いた2012年以来の付き合いですね。
大畑: 初めて『大阪外道』を観て、めちゃくちゃ面白いと思って、僕が話しかけたんでしたよね、確か。
石原: 僕は『へんげ』と『大拳銃』を観て、なんじゃこれはと思った。僕は、塚本晋也監督が好きだったから最初に聞いたんですよね。『鉄男』とかの影響はあるんですか? と。そしたら「いや別に」って言われて、ズッコケから始まった(笑) 全然影響ないんやと思って。意外でした。怨霊が取り憑いてるんちゃうと思ったくらいやったから。
大畑: 実際あんまり観てなかったんです。『大拳銃』を撮る時に、拳銃を密造する映画があるって教わって、『BULLET BALLET』を観たくらいで。そんな話をよく覚えてますね(笑) 最初に『大阪外道』を観た時は本当に面白くて、今時、こういうことをやろうとする人がいるんだなって。ヤクザを題材にして、それも自主映画で作ろうとしてる人がいるっていう時点でもうスゴイと思ったし、実際に『大阪外道』は観たことがないようなヤクザ映画だったんで、この人は何考えてるんだろうなって。
石原: 東京で映画を作ってる他の監督の方々からも大体が同じように「何だコレは」っていう反応でしたね。
大畑: 今回、3作同時上映ってことですけど、特に『大阪外道』は僕には他の映画とは違うように映るんです。『大阪外道』は、「外道」と呼ばれる大宮将司さんが演じた役はヤクザではないし、新しいキャラクターで引っ張っていく映画で、いわゆるヤクザ映画とはまた違った感触がある。大宮さんの役は、他の映画では見られないような特殊なキャラクターですよね。
石原: 「外道」というキャラは、橋の下で座っとるわけですね。で、通る人から通行料を取ったり、停めてあるベンツの駐車代を取ったり、めちゃくちゃなわけです。大阪ならではと言われても、東京にそういう文化があるのかどうかって自分では分からんのですよ。
大畑: というか、そういう文化は日本にあるんですか?(笑)
石原: はははは(笑) よそは知らんけど、うちのフィールドではこうなんですってことを照れずに見せたら、皆に驚かれた。昔の世代の人にも事実確認したんです。絶滅品種に近いけど、今もわずかに生き残ってると思いますね。
大畑: 石原さんの周りではってことですね(笑) だからこそ石原さんは大阪で映画を作ってるってことなんですかね。
石原: 自覚はないけど、強みを意識してるのかもしれないですね。こんなご飯の食べ方ないやろとか、こんなお金の稼ぎ方ないやろとか、そこでキレるか? みたいな、大阪っていうフィールドで起こってる色んな人間のパターンをやってるような気はしますね。
大畑: (モンド映画の)ヤコペッティ的な感性なんですね。大阪残酷物語じゃないですけど。石原さんの映画を面白いって言ってる人は、もちろん別の理由もあるけど、「こんなところ、まだ日本にもあるんだ」みたいな視点で観てるところはあると思いますね。
石原: 絶滅品種の人達を映像で後世に残したいって気持ちがあって。パンツ1枚に、上がランニングで、缶ビール持って歩いてるおっさんとか減りつつあるんですよ。ずっと「コラー!」って叫んでるけど、話しかけたら「何だい?」ってなるおっさんとか(笑) それが絶滅してしまったらつまらんのじゃないかって気持ちがあるんですよ。めちゃくちゃな人間って迷惑やけど、でも、いた方が面白くない?
大畑: 近しい人にいたら困りますけど(笑) でも映画の中でそういう人が出てくるのは娯楽映画として絶対に面白いですからね。
石原: 大阪的ってことで言うと、僕はアドリブをよく使うんで、シナリオはちゃんとあるんですけど、余白部分がだいぶあるタイプなんですね。そのアドリブが、関西的というか、ボケツッコミ、乗りツッコミ的な会話のリズムを生んでいて、それがどこまでシナリオ通りなのか分からんように撮る。そこには拘ってるんです。
大畑: 例えば、『大阪蛇道』の田畑智子さんと仁科貴さんのやり取りなんかもアドリブなんですか?
石原: あそこは実はきっちり台詞通りだったりするんです。でもそう思われたのは推測が難しいように出来たってことだから嬉しい。どこまで台詞で書いとるんや、石原って思われたいですね。
大畑: 僕はアドリブはあまり得意ではなかったんですけど、この間撮った子供が主役の短編映画(『リアル鬼ごっこ ライジング 佐藤さんを探せ!』)でアドリブでやってもらった箇所があるんですけど、まあ向いてないなって(笑) 僕はちゃんと台詞を書いて、それをうまく演じてくれる人に出てもらうほうが好きですね。
『大阪外道』 ©石原映画工場
石原: 大畑さんの『へんげ』で言うと、あの爆発的なエネルギーはどこからきとるんやっていうことを聞きたいんですけど。
大畑: 単に面白い映画作ってやるぜって思っただけですね。世間に対して恨みとか怒りとか人間として少しはありますけど、それを映画で表現したいという発想はしたことがなくて、怪物に変身しちゃうような旦那がいて、最終的に新宿のビル群を破壊し尽くしてる旦那を見上げて涙してる奥さんがいたら、絶対感動するだろうなっていう着想なんです。
石原: ぶっ飛んどるね(笑)
大畑: 『大拳銃』も当時、格差社会って言われはじめてましたけど、正直、その辺はどうでもよくて、鉄工所のおっさんが拳銃作れって言われてそれにのめり込んで行くのって面白いじゃんって思っただけなんです。
石原: これは推測やけど、大畑さんの作る映画を周囲が色々と評論したりしがちになってるのかなって。だけど、実は本人は深く考えてないっていうズレはもしかしたらあるんかなって。
大畑: 深く考えてないとい言われると困るんですよ(笑) 考えてることは考えてる。
石原: どうやねん(笑)
大畑: 今の質問の爆発的なエネルギーってことに関しては、自分の中の感情的な部分で思いついたものではないという意味ですね。
石原: 自分の感情ではなく、あくまで発想としてってことですね。
大畑: 子供映画を経て、このバイオレンス三部作に辿り着くっていうフィルモグラフィから考えても、石原さんが今まで生きてきた人生というか、そういうものを表現しようという、僕からみたら偉いなって感じるようなところで映画作ってる人だってずっと思ってたんですけど、その辺りはどうなんですか?
石原: それはバイオレンスになってからかもしれないですね。子供映画を撮ってた時は大きくは入れてなくて、バイオレンスになってから人生観を出して勝負しようと思うようになりましたね。
大畑: 人生観を表現するために、バイオレンスってことだったんですか?
石原: 極端なのが好きなんでしょうね。子供かヤクザかっていう2つの惑星が自分の中でずっとあって、一旦、子供映画を撮り始めた。次はヤクザと子供を合体させるって思いが『大阪外道』に繋がったんです。自分の中で普通のサラリーマンは出てこないんです、今後も永久に。社会という輪があるとしたら、輪の外の奴の話を作りたいんです。
大畑: それはつまり今まで自分が経験してきたことだからですか?
石原: それもあるやろうし、自分だと輪の外の人間を描きやすいってのもある。コミュニケーションを取れるので。僕自身、社会っていう輪の中と外の出入りが自由な中途半端な奴なんですよ。
大畑: 中に入っても彼らを見つめてる人、ってことですね。「こんな面白い人達いるから、みんなに見せてあげよう」ってことなんですね。あと、石原さんって映画オタク臭があまりしないですよね。僕は人から「映画が好きなんだねぇ」みたいに言われますけど、石原さんもバイオレンス映画が好きだから撮ってる部分もあるんですか?
石原: 映画はもちろん好きですけど、映画議論があまり好きじゃないんです。酒の席で、あの映画いいな、このシーンいいなって話すのは大好きなんですけど、ああすべきとかこうすべきみたいな評論的なのは嫌いで。
大畑: 僕がしがちな議論ですね(笑)
石原: そこが2人の違うところで、思っててても、たぶん言わんですね。
大畑: まあでも僕は言いますからね。
石原: 夕張でも酔っ払って言っとったね(笑) でも愛を込めて言ってますからね。それなら別にいいんです。相手への攻撃のみの言い方が嫌いなだけで。
大畑: 僕のは愛まみれですから(笑)
『大阪蛇道』 ©石原映画工場
大畑: ところで、この三部作は自主制作になるんですか?
石原: 『大阪外道』は完全自主映画で、『大阪蛇道』はゆうばり映画祭支援で作っていて、『コントロール・オブ・バイオレンス』も出資はありましたけど、制作としては自主に近いかもしれないですね。
大畑: 潤沢な予算があった上で作られてる映画ではないってことですよね。僕も同じような立場にあるんですけど、石原さんの映画を観て、すごく贅沢なことをやってるなって毎回思うんです。どうやって作ってるんですか?
石原: まず映画を作る順番が他の人と違うのかもしれないです。企画、脚本、ロケハン、キャスティングっていうのが一般的な手順だと思うんですね。撮影日を決めてて、それまでに配役を決めてという流れやと思うんですけど、僕の場合、まず人から始まるんです。それから企画、脚本なんです。『コントロール・オブ・バイオレンス』で言うと、SUBZEROは渋川清彦さんしかないというところから書き始めてるんです。撮影場所についても使える前提で脚本を書き始める。傍から見たら無茶をしてるようだけど、自分の配分を超えないことをしているんです。
大畑: それでも無茶やってるように見えるのは周りの協力が物凄いものがあると思うんですけど、どうやって巻き込んでるんですか?
石原: 具体的な質問ですね。人で言えば、何回も会って喋ってご飯を食べるってのを繰り返すのみですね。腹割って喋る。ヤクザ者には、刺青見せろ、服脱げってまず言いますね。
大畑: ヤコペッティっぽいな(笑) 石原さんだから出来ることですね。
石原: でも、出演してるのは本職のヤクザではなく、前科者か元ヤクザなんですけどね。
大畑: 夕張に来る石原チームって、恐くて本当に近付き難いですからね(笑) 本物に見える人をキャスティングしてるわけですね。脇役がまた良くて、例えば、福本清三さんを起用するところで、本物感を求めてますよね。
石原: ツラですわ。顔がめちゃくちゃ重要なんです。演技が出来なくても別に黙ってればそれはそれでいいので、「殺すぞ!」ってまず言ってもらって下手糞なら喋らせないで、上手なら台詞を言わせるって感じなんです。俳優は変幻自在に合わせてくれるので、素人とプロの微調整係みたいなことを監督としてやってるんですよ。画面上で、俳優がやってることと素人がやってることがなるべく同じようにになって、どっちが俳優やねんってなったら成功なんです。
大畑: ますます石原さんならではですね。
石原: 僕が日本映画でつまらんと思うのは、悪役がぬるいんですよ。敢えて日本映画って言い切っちゃうけど、ぬるいです。洋画はやっぱり悪はちゃんと悪として描くし、韓国映画も悪が突き抜けてるんですよ。僕は悪は悪で描ける監督でありたいって気持ちはある。勧善懲悪という意味ではなく、悪役にも色んな性格があったり人間性があって当然なんですけど、ぬるいんです。ぬるいのはいかんと。
大畑: まあ、石原さんの話に乗らせてもらうと、日本映画では愉快犯的な、ですます調で話す悪役を安易に登場させがちで。薄っぺらい意味でサイコパス的で、ゲーム的な犯罪をしかけてくる犯罪者。僕はそれが本当に嫌なんで、感情たっぷりの悪役が好きで。むしろ僕は悪役っていうのは設定したことはあまりなくて、むしろ主人公の方がやってること酷いっていうのが好きなんです。
石原: それやったらありなんですわ。それだったら悪役は出さなくていいと思うし、突き抜けてるってことはとてもいいことだと思いますね。
大畑: 分析してくれる人がいないんで、自分で分析したんですけど、何をやってもいいというのが人間の本当の自由。だから実際はやっちゃいけないんだけど、人を殺したっていいし、ビルを破壊しまくってもいいって思うんです。もちろん実際には絶対にやっちゃいけないことですよ。でもそれは誰にだって許されてるんじゃないかって思うんです。その許されてるはずの自由を邪魔する奴は排除されるべきだっていう、酷いけど清々しい思いで物語を作ってるというところが僕はあるんです。もちろんこれは作りものとしての話ですけどね。
石原: へー、そういうことを考えるんや。
大畑: 酷いですよね。酷いけど、みんなどこかで何かを我慢して生きてると思うんで、そういう映画って溜飲を下げるという感じで観てくれるんじゃないかって思って作ってますね。そう考えると石原さんは大人だなって思います。今、僕が言ったようなことって、どこか幼稚じみた考えという認識があるんですよ。でも、石原さんの映画の主人公ってそれを許さないようなところがあるじゃないですか。絶対に粛清されるというか。そこが石原さんと僕の違いであり、石原さんが凄いなって思うところなんです。石原さんは絶対的な倫理があるというか。
石原: そうかもしれないですね。僕はそこは捻くれてはいないですね。
大畑: だからいつか石原さんに倫理や正義を無視して作ってもらいたいなってというのがあるので、僕に書かせてください(笑)
石原: 脚本を? ゆうばりでも観てくれてすぐに「俺が脚本書くべきだった」って言ってましたね。酔っ払いながら。
『コントロール・オブ・バイオレンス』 ©石原映画工場
大畑: あと石原さんの映画って物語的なことで言うと、娯楽映画を作る人なら絶対外さないだろうというところを外すような気がするんですよ。例えば、『大阪外道』なら、ヤクザの息子である「非道」が父親の組を破壊するけど、普通の作り手なら、そうはせずに「外道」とヤクザ組織を対決させるような展開にすると思うんですよ。
石原: 僕の中で、警察とヤクザは何とも思ってないんですよ。僕の映画に警察は出てこないし、ヤクザもあっという間に組が潰されるんですよ。ヤクザって割とどうでもいい存在なんですよ。
大畑: 潰すのはいいと思うんです。「非道」1人よりもヤクザ組織の方が強いじゃないですか。そのヤクザ組織と「外道」をぶつけるという燃える展開に普通したくなるのに、映画として美味しいところを外すのは何でかなって思うんですよ。
石原: それは外しますね。
大畑: 『大阪蛇道』で言うと、幼馴染みの2人の再会を序盤じゃなくて終盤に持ってくるのも外してると思うんです。
石原: ネジ感覚はどこかおかしいのかもしれないですね。今、言われてもやっぱり終盤の方で2人は会った方がいいと思うんで。溜めたくなる。
大畑: 『インファナル・アフェア』じゃないですけど、違う立場の人生の2人の齟齬を作劇の軸にしてお話を作っていくのが娯楽映画の作り手の感性だと思うんですよ。
石原: それは出来過ぎな感じがして嫌なんですよね。教科書100点的な発想やと思って、腑に落ちんのですわ。
大畑: そこなんですよね。今でも十分に面白いですけど、正直それをやっても面白いと思うんです。さっきの話でもあった通り、石原さんはどこか映画を表現してるというより人生を表現してるところがあるから、いわゆる娯楽映画を作る人が普通やりそうな作劇を外すことが出来るのかなって思うんです。
石原: 重きを置いてるところが違うのかもしれないですね。人生観っていう自分の中での基準があって、こんな言い方をしたらあれやけど、人生観の薄い人は映画の理論でそれを補うしかない。それを取り入れてエンタテイメントに昇華するけど、僕の場合は自分の経験の方が大きくて、映画をあまり理論立てて考えないんですよ。細かく言われても知らんと(笑)
大畑: いや、それはね。僕に書かせて下さいよ。
石原: この流れで何でそうなんねん(笑)
大畑: 僕が書いて、石原さんが壊すみたいな、そういうやり方でやりましょう。
石原: あーでも、それは新しい化学反応になるのは間違いないね。
大畑: シナリオっていつもどうやって書いてるんですか? 僕は人に読んでもらったりするのが好きなんですけど、石原さんはどうなのかなって。
石原: 一部の信用してる人に読んでもらいますね。企画は今20本くらいあって、暇があればその20本を自分の中で常に更新し続けてるので、割といつでも脚本書ける状態のものが20本くらいあるんです。導火線にすぐ火をつけられるダイナマイトが並んでるような状態です。それで書いたら読んでもらって、感想もらって書き直してって、第四稿くらいまで書きますね。
大畑: なるほど。ダイナマイトも科学ですからね。科学的な理論をゴチャゴチャ言ってくる僕のような人がいてもいいんじゃないですかね。でも僕はそれを理論とは思ってなくて、そうしても面白くなるって思うので。
石原: (笑)
『ABC・オブ・デス2』 ©2014 ABCS OF DEATH2 FILM,LTD.
大畑: 話が変わりますけど、石原さんの映画は銃が出てきませんよね。
石原: そうですね。中途半端が嫌で、銃を使うなら、エフェクトもちゃんとやりたいんです。完璧にしないと嫌で、しょぼい部分が見えるくらいやったらやらない。それやったら素手で殴るか、フルスイングで頭をかち割る方が絵になるので。あとは型のあるアクションっていうのは僕がやることじゃないって思ってて、泥臭い方がいい。胸ぐら掴んで、頭突きして、馬乗りになってパンチ連打するみたいなそういうのが僕の思う暴力なんで。拳銃も恰好つけてバンバンって撃つよりも、髪の毛掴んで腹で撃ち抜くとか、やるならそんなんですね。
大畑: それは分かりますね。
石原: これは意見一致だ。
大畑: いやいや、結構、意見一致してますよ(笑) 拳銃ってことで言うと、僕はどんなにしょぼくても何とかして拳銃を出そうとしちゃうんですよ。拳銃で撃たれる人も好き、撃つ人も好きみたいな。
石原: なかなかのフェチですな。『ABCオブ・デス2』の話をすると、大畑さんがやってた短編も拳銃を使ってたやないですか。あの使い方は大好きで。法廷シーンがメインですけど、拳銃の使い方も回想シーンの入れ方も潔くていいと思った。回想を勿体ぶってないところがいい。あの潔さは僕にはない。僕ならもう10秒長くしちゃうと思う。
大畑: 僕はそこはどうでもいいですね。どうでもいいって言うと語弊がありますけど、何があったかはあの長さで分かるはずだって思うし、何があったのかが分かるだけで充分だと思う。で、あのシーンの銃火、あれも合成のエフェクトなんです。だから合成でいけますよ。薬莢はなかなか難しいかもしれないですけど、血糊とかなら。
石原: なるほどね。エフェクト的にちゃんと出来るならやりたいですね。今まで拳銃使ってないわけやから泥臭い使い方をしたいですね。僕は接近戦ですね。遠くからじゃなく。
大畑: 石原さんの泥臭くて恰好良い銃撃戦みたいですね。
石原: たけし映画で、やりたいことは、かなりやられちゃってて。象徴的なシーンで言うと、『BROTHER』で高級クラブの従業員がトイレに入って行って、お客さんは何してるか分からんのですよ。いきなりたけしが後ろからズドンって撃ち抜くいう。あの突発性が凄いなぁって思いますね。あと、拳銃の音は一発が重たいものでありたいんです。軽いパン、パンみたいじゃなくて。使うならばそうありたいな。
大畑: なんとなく気持ち分かります。
石原: 『ABCオブ・デス2』の大畑監督の作品は嬉しかったですね。日本人としていいとこを突いたというか、海外勢に負けてない。嬉しかったですよ。法廷っていう狭い範囲のことをやっているようで外に向かっとるんですよ、僕からしたら。内輪じゃないから海外にも響くはずなんですよ。
大畑: それは嬉しいですね。有り難いです。
石原: 最後に聞きたいんですけど、『へんげ』で街を破壊するような男を描いてますけど、ぶっ壊したいものは他にないですかね? 例えば、国会議事堂とか日本全土なのか、ぶっ壊したい願望について知りたいですね。
大畑: さっきも言ったんですけど、怒りとか感情的なものでやろうとは全く思ってなくて、それがただ単に面白いってことでしか考えてないんですけど、いつかやりたいと思ってるのがあるんです。天皇が…。
石原: あ、タブーっぽい感じが。
大畑: 天皇が遂に日本を憂いて大破壊をするというのをやりたい。自分がやりたいっていうのはもちろんありますけど、そういう映画観てみたいですね。天皇って今、いつキレてもいいと思うんですよ。燃える映画になると思うんですけど、駄目ですかね?
石原: 駄目というか言葉がない(笑) なるほどね。僕の場合の破壊衝動で言うと、差別的環境で育った大阪の子供が大人になって、こんな街は潰してやるって更地にしちゃって、もう一回、街を作るっていう話はやってみたいですね。
大畑: それを天皇でやるんです。本気を出せば、自衛隊も思うがままなはずなので。もちろん、娯楽映画としての話ですけど。
石原: 天皇が日本全土を更地にするの? でっかいな、この男は(笑)
■上映作品
『大阪蛇道』
『コントロール・オブ・バイオレンス』
2015年7月11日(土)よりテアトル新宿にて3週間上映
■上映作品
『ヘルレイザー2』
『ヘルレイザー3』
『メキシコ・オブ・デス』
『人間まがい』
『バスケット・ケース』
『ABC・オブ・デス』
『ABC・オブ・デス2』
2015年8月22日(土)よりキネカ大森にて開催
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