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  • 2014.07.02

“大きな鍋で作るのは10万人分の豆カレー” 聖地インドの黄金寺院の団らんを体験する『聖者たちの食卓』

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2012年の東京国際映画祭、ナチュラルTIFF部門にてグランプリを受賞したドキュメンタリー映画『聖者からの食事』(原題/Himself He Cooks)が、『聖者たちの食卓』に改題し、9月下旬より東京・渋谷アップリンクほかでの公開が決定した。

 

本作は、人種も、階級も、宗教も関係なくお腹を満たすことが出来る、聖地インドの黄金寺院の大きな団らんを体験するショートトリップ・ドキュメンタリー。

 

インドのシク教総本山にあたるハリマンディル・サーヒブ<黄金寺院>では、毎日5~10万食が巡礼者や旅行者のために、すべて無料で提供されている。そこは宗教も人種も階級も職業も関係なく、みなが公平にお腹を満たすことができる「聖なる場所」だ。想像すらつかない沢山の食事は、毎日どのように用意されているのだろうか? スクリーンに映し出されるのは、驚くべきキッチンの舞台裏と、それに関わる人々の一切無駄のない神々しい手さばき。もちろん、近代的な調理器具は使わず、全てが手仕事で行われている。

 

監督は、自らも移動式キッチンのシェフとして腕をふるうベルギーのフィリップ・ウィチュスとヴァレリー・ベルトー夫妻。黄金寺院で何世紀にも渡って続く「聖なるキッチン」のコンセプトに感銘をうけ、映画の制作を決意。訪れた人々があらゆる差別や偏見を気にせず、同じ鍋のごはんをいただく“大きな団らん”と、それを支える人々の無償の労働。その姿はファストフードやコンビニ弁当による「ひとりご飯」が当たり前となってしまった私たちに、「食」という人の営みの原点を思い出させてくれる。インド黄金寺院に古くから伝わる食卓の風景に、心解きほぐされる極上のショートトリップ・ドキュメンタリー。これを見れば、今夜の食卓は少し違って見えてくるはず。
作品情報 『聖者からの食事』
監督:フィリップ・ウィチュス、ヴァレリー・ベルトー
2011年/ベルギー/65 分/原題:Himself He Cooks