【第6回】映画『世界の終わりのいずこねこ』制作日記 ~アイドルと映画に巻き込まれた僕たち~ 西島大介

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  • 2015.03.25

【第6回】映画『世界の終わりのいずこねこ』制作日記 ~アイドルと映画に巻き込まれた僕たち~ 西島大介

アイドル「いずこねこ」主演映画企画として進行しながら、撮影前にその「いずこねこ」の活動が突如終了するなど困難を乗り越え、3/7に公開となった映画『世界の終わりのいずこねこ』。メガホンを取った気鋭の映像作家、竹内道宏監督と共同で脚本を手掛け、語り部的な役どころ、ミイケ先生役として出演も果たしている漫画家(本作のコミカライズ単行本も3/7発売)の西島大介氏によるプロダクションノートを短期集中連載。映画の立ちあがりから撮影、先行イベント、コミカライズなどを経て、映画公開に至るまでの悲喜交々を綴った記録を、スチールを担当された少女写真家の飯田えりかさんによる劇中写真&オフショット写真と共に公開。

 

 

 

 

2014年8月某日

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「MOOSIC SUMMER FEST 2014」が渋谷WWWで開催。ライブ出演は大森靖子、いずこねこ。出張合わせで僕も会場へ。撮影でお世話になった映画スタッフが集結していて、彼らに「撮影現場以外で会うこと」にものすごい違和感を覚えて、笑ってしまう。言うまでもないが、活動休止前提のいずこねこよりも、メジャーデビューが決定した大森さんとその映画『ワンダフル・ワールド・エンド』に明らかに勢いがある。二作品に共通するのはプロデューサーの直井卓俊さんと、出演者の蒼波純さん。『あんこまん』監督の中村祐太郎くんとフロアで初めて出会い、思わず抱っこしてしまう。彼は後に園子温監督『TOKYO TRIBE』にぴったりな役で出演する。 lineA

 

2014年8月某日

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映画本編用のカットを仕上げて送る。VFXを使えないシーンでは、その代わりにだいたい僕のイラストが登場。 lineA

 

2014年9月某日

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西島が「DJまほうつかい」として毎年開催しているタワーレコード広島店のインストアイベント兼サイン会「まほフェス2014」にいずこねこ茉里さんを呼ぶ。地元のバンドやアニソン系DJに混じり、今年は茉里さんを呼んだらスケール感出ていいなと考えたのだが、今思うとプロモとしては時期が早すぎた気が。茉里さんはライブ、映画についてのトーク、チェキ会をしてもらい、その日の終電で飼い主さんに囲まれながら大阪へ。 lineA

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クラスメイト (みきちゅ)

 

2014年9月某日

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『ディエンビエンフー』を連載していた雑誌「IKKI」の最終号が刊行。同号に掲載された榎本俊二さんの『火事場のバカIQ』最終回には、僕が「西島大介」役で登場。榎本先生の作品らしく全ページにわたり金玉丸出し状態。とても光栄。人のマンガに載ることも一つの俳優業かなと全く悪い気がしない。IKKIにジャンプ改と、かつての掲載誌がたてつづけに消え、『ディエンビエンフー』を継続する雑誌も特に見つからず、漫画家としてこれからどうなるのだろう?と思うが、アイドルと映画に巻き込まれつつ日々は忙しく過ぎるのであまり考えないことにする。 lineA

 

2014年9月某日

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竹内監督による映画「特報」完成。 lineA

 

2014年10月某日

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大阪のロフトプラスワン WESTにてIKKI休刊記念イベント「IKKI-FES in 大阪」に出演。日中に書店で他の作家さんと一緒にサインをし、イベントではピアノを弾きながら、前述の榎本俊二さんの『火事場のバカIQ』の一コマを再現するライブパフォーマンスをする(金玉は出していない)。

 

 

その夜、大阪に戻ってきたサクライケンタさんと合流。サクライさん行きつけの味園ビルのバーに二人で行く。撮影現場ではサクライさんとは、宿泊先での一夜以外多く会話を交わすことはなかったが、この夜、初めて打ち解けることができたと感じた。サクライさんは映画の仕上がりについて東京で打ち合わせで内覧試写をしてきたのだそう。映画はぼほ完成しているらしいが、僕は映画の仕上がりについては監督に一任と思い、全くタッチせず。イツ子(茉里)とスウ子(蒼波純)をあしらったCAMPFIERの特典用イラストを大阪(僕にとっては「関西新東京市」)で仕上げる。これはTシャツになり前売り券の特典ステッカーになり、最終的にコミック版のカバー絵になる。 lineA

 

2014年10月某日

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翌朝、IKKI担当編集湯浅さんと黒門市場で食べ歩きしていたら、『太秦ヤコペッティ』『SAVE THE CLUB NOON』の宮本杜朗監督とばったり遭遇。 lineA

 

2014年10月某日

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3月7日からK’s cinemaでの公開が正式決定。 lineA

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クラスメイト (月詠まみ(恥じらいレスキュー))

 

2014年10月某日

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竹内監督と直井さん、CAMPFIREのリターンの発送で大変そう。 lineA

 

2014年10月某日

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『世界の終わりのいずこねこ』パトロン向け上映会。どうやら映画は完成したらしい。 lineA

 

2014年10月某日

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渋谷タワレコにて「まほフェス in 渋谷 森とおばけとハロウィンの夜」。出演は西島ことDJまほうつかい、椎名もた、あさきゆめみし(龍宮さかな&白水桜太郎)、detune.、吉田隆一、柿本論理(三毛猫ホームレス)。『Ghosts in the Forest EP』と作品集『くらやみ村のこどもたち』のリリースに合わせた、複数購入ありのサイン会&インストアライブ。この頃はアイドルを学び、こういうイベントにすっかり慣れてしまった。お客さんも集まって盛況。

 

ボカロPである椎名もたくんのオープニングDJが予定より10分早く終わってしまい、ディアステージのアイドルである龍宮さかなさん、白水桜太郎さんがトークでつないでくれて、ここでもアイドルの力を再認識。

 

そういえば渋谷タワレコ6Fはジャズフロアで、「この場所でMIX(オタ芸)を打つのはありかなしか?」という議論になった時、僕は「その言い方はオタ芸文化に失礼だ!」とメールに書いた。すっかりアイドル寄りの意見。 lineA

 

2014年10月某日

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「シブカル祭2014」にて『世界の終わりのいずこねこ』ワールドプレミア上映。特に出演やお手伝いはせず。ちょうど一年前、シブカル祭を横目に竹内監督と直井さんと打ち合わせしたことを思い出す。それにしても「シブカル祭でワールドプレミア」という言葉、大きいんだか小さいんだかよくわからない。 lineA

 

2014年10月某日

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横川シネマにてDVDで試写。関係者に遅れて、ここで初めて完成した映画『世界の終わりのいずこねこ』を観る。以下は竹内監督と直井さんに送った感想のメール。

 

「先日広島で試写して映画観ました。傑作!めちゃカルトだけど(僕という作家も人のこといえないけど)、魂のこもった作品であり、脚本担当したことも出演していることも瞬間忘れて、心が震える瞬間が何度もありました。ものすごくヘンテコリンながら、他にはめったにない、すごい映画になったと思っています。研ぎ澄まされ過ぎていて、どう広げていいやら若干悩みますが、その困難さもこの映画が持っている魅力とも思えます。おつかれさまです!やったみんながんばった」 lineA

 

2014年10月某日

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シブカル祭を皮切りに、各地映画祭で先行上映イベントが始まる。広島の「横川シネマ」でも先行上映イベントを開催することになり、僕も裏方としてイベントを仕切る立場に。ここから、いずこねこのファン「飼い主」さんとの密な交流が始まる。

 

広島のミニシアター「横川シネマ」をボランティアで手伝う中で、僕は過去に、ドキュメンタリー映画『ある精肉店のはなし』上映に音楽家・批評家の大谷能生の演奏をくっつけたイベント「大谷能生―精肉を語る―」や、蓮沼執太フィル広島公演のプレ・イベント「アルバム『時が奏でる』試聴会―蓮沼執太を紹介する―」などを企画。要はツアーで広島に回ってくる友達を、映画館にブッキング、前座やトークは西島(DJまほうつかい)が務め、打ち上げで地元交流込みで飲むという、ただ楽しい内容。今回の『世界の終わりのいずこねこ』もそのやり方に。

 

チラシには「11・9 神イベ」の文字と書いた。後に飼い主さんに、「主催側から神イベと告知するのは珍しい」と言われ、僕の雑なアイドル感が露呈することに。その日は茉里さんの誕生日。プラニメの活動と並行しながらも、いずこねこの生誕イベントになった。神イベ。 lineA

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クラスメイト (宗本花音里)

 

2014年11月某日

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広島先行上映会当日。映画上映と竹内監督を招いてのトーク、そしていずこねこのライブパフォーマンスも。「劇場へのサイリウム持ち込みはありか?」「サプライズのタイミング知りたいので曲順事前にわかりますか?」など、飼い主さんからのご要望に出来るだけ対応しつつ、映画館でサイリウムが瞬きMIXが打たれ、サプライズケーキが登場するなど(ケーキの絵は僕担当)素晴らしい上映会となる。ハッピーバースデーの歌の時の、僕のピアノ伴奏だけが頼りなかった。

 

茉里さんは上映後スクリーンの前で終電ぎりぎりまでチェキ会。ディアステージのスタッフにも「チェキが一番儲かる」と以前聞いていたし、地方に出向いてチェキで足代を稼ぐ積極的な姿勢に、地下アイドルのプロさを強く感じて頼もしい。

 

茉里さんが帰った後、泊り組の竹内監督に西島が強くお願いして二次会的に2012年に同じ場所で観た「霊能者パフォーマンス」を披露してもらう。『世界の終わりのいずこねこ』上映関連で「霊能者パフォーマンス」が披露されたのは多分横川シネマ上映だけ。ちなみに完成した映画で「ニュース解説者の声」を演じているのは竹内監督で、あの声の演技はとても「霊能者パフォーマンス」的。『世界の終わりのいずこねこ』は僕を含め狙って演技の素人ばかりがキャスティングされている。一番演技力があるのは竹内監督なのではないかと思う。

 

また、この映画最大の特徴である膨大な配信コメントをすべて入力しているのは竹内監督。多くの人はあの膨大なコメントを「脚本」と考えにくいと思うけど、出現位置、文字の大きさ、タイミングなど、竹内監督が手取り足取り徹底的に演技指導しているのは人ではなく、膨大なコメント群。それこそが本作を新しいものにしていることに、誰か気づいてほしい、しかし気づきにくいだろうなと思う。 lineA

 

 

■第7回は3月27日更新

 

作品情報 『世界の終わりのいずこねこ』

 

 

監督・脚本・編集: 竹内道宏
共同脚本・コミカライズ: 西島大介
企画: 直井卓俊
原案・音楽: サクライケンタ
出演: 茉里(いずこねこ)、蒼波純、西島大介、緑川百々子、永井亜子、小明、宍戸留美、いまおかしんじ、蝦名恵、ライムベリー、みきちゅ、PIP、コショージメグミ、レイチェル、姫乃たま、あの / ようなぴ / しふぉん(ゆるめるモ!)、篠崎こころ(プティパ -petit pas!-)、木村仁美、宗本花音里、Classic fairy、桃香(Peach sugar snow)、月詠まみ(恥じらいレスキュー)
配給: SPOTEED PRODUCTIONS
製作: ekoms+SPOTTED PRODUCTIONS
製作協力: CAMPFIRE
©2014『世界の終わりのいずこねこ』製作委員会

 

⇒公式サイトはこちら

 

★新宿K’sシネマにて、映画公開記念トークイベント開催決定!
■3月17日(火) トークショー (本編上映終了後)
登壇者: 森直人(映画評論家)、九龍ジョー(ライター)、西島大介(漫画家)
■3月19日(木) トークショー (本編上映終了後)
登壇者: 姫乃たま(地下アイドル/ライター)、直井卓俊(企画プロデューサー)、竹内道宏監督
■3月20日(金) トークショー (本編上映終了後)
登壇者: 西島大介(漫画家)、ささかまリス子(秋葉原ディアステージ)、竹内道宏監督
■3月22日(日) トークショー (本編上映終了後)
登壇者: 吉田豪(プロインタビュアー)、サクライケンタ(いずこねこプロデューサー)
■3月23日(月) トークショー (本編上映終了後)
登壇者: 宍戸留美(声優)、いまおかしんじ(監督)、竹内道宏監督

 

★地方上映スケジュール
■3月28日(土)、29日(日)【広島】 広島南区民文化センター(広島あにこむ2014)
■4月11日(土)〜17日(金)【大阪】第七藝術劇場
■4月18日(土)〜24日(金)【神戸】元町映画館
■5月1日(金)〜14日(木)【広島】横川シネマ
■5月2日(土)〜8日(金)【京都】立誠シネマ
■5月2日(土)〜8日(金)【愛知】シネマスコーレ

 

 

⇒コミックス版『世界の終わりのいずこねこ』全国書店&ECサイトにて発売中!
イベント情報 西島大介「世界の終わりのいずこねこ展」
期間: 2015年3月7日(土)~4月13日(月)
時間: 月~金/13:00~20:00 土日祝/12:00~19:00
(イベントの際は異なる場合もございます。予めご了承ください。)
入場料: 500円 (開催中の展覧会共通)
会場: parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
TEL: 03-5835-1180

 

【さやわか式☆現代文化論 #16】さやわか×西島大介×濱野智史
映画『世界の終わりのいずこねこ』――アーキテクチャ、アイドル、コミック、その先へ
日程: 2015年3月21日(土)
時間: 19:00~21:00 (開場:18:00)
PIPによるコミック単行本お渡し会も同時開催!
入場料: 前売2600円(1D付) / 当日3100円(1D付)
会場: ゲンロンカフェ
TEL: 03-5719-6821

 

「世界の終わりのいずこねこフェア」
日程: 2015年3月10日(火)~3月27日(金)
入場料: 無料
会場: BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿
TEL: 03-5312-2635
コミック版『世界の終わりのいずこねこ』単行本および西島大介さん過去作品、映画スチール担当の飯田えりかさんによる写真集、サクライケンタさんによるサントラ他関連CDなども販売予定。期間中、『世界の終わりのいずこねこ』ミニ原画展も開催! BIBLIOPHILIC & bookunion新宿限定・特製トートバッグ発売あり!

PROFILE 西島大介 Daisuke Nishijima
1974年東京生まれ、広島在住。漫画家。2004年に『凹村戦争』でデビュー。代表作に『世界の終わりの魔法使い』 『ディエンビエンフー』などがある。2012年に刊行した『すべてがちょっとずつ優しい世界』で第三回広島本大賞を受賞、第17回文化庁メディア芸術祭推薦作に選出。装幀画を多く手掛け、「DJ まほうつかい」名義で音楽活動も行う。映画『世界の終わりのいずこねこ』脚本&出演など、活動は多岐に渡る。

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飯田えりか Erika Iida
1991年東京都生まれ。少女写真家。2011年から青山裕企氏に師事する。2014年に日本大学芸術学部写真学科卒業。自らの経験による少女性の考察をもとに少女に戻すポートレート作品を主に制作。ショートカット推進委員会公認カメラマン、アイドルグループ「hanarichu」メインフォトグラファー。