根本: ライブをやってる時の違いは両者でありますか?
みさこ: 全然違うんですけど、その時にしか味わえない緊張感とかライブの熱量を求めているという意味で、根本的なところは同じかもしれないです。ライブが好きなので。音源だけだったらちょっと続けられないかもしれない。自分の個人的な楽しみとしてはライブがやっぱり大きい。
根本: 当たり前ですけど、CDと熱量が全然違うじゃないですか。だからライブに行きたいと思います。(取材時間を確認した後で。)じゃあ、の子さんについて(笑)
みさこ: の子さんは、映像でTVドラマとか出たいとか言ってました。それこそ、さっき根本さんがおっしゃってたみたいな、の子さんのために用意された役みたいなのだったら良い気がしますね。
根本: そうですよね。私が台本を書いてて、そういうのを人に用意するのが一番の楽しさなんですけど。やっぱり期限があって、どれだけ書かなきゃいけないみたいになると苦痛の方が多いので。
みさこ: それはそうですよね。脚本ないと何も始まらないから。焦りますもんね。
根本: 最初の読み合わせとか手に汗握ります。
(SとMなら自分はどっちかという話になり。)
みさこ: 私は最終的に、ドMだと思います。好きな人達に甘えられないんですよ。嫌われたくなっちゃう。うざがられたくなっちゃうんです。
根本: 私もそうだと思います。物を作る人はみんなそうかもしれないですよね。辿っていくと。強く見られたいんですけど。
みさこ: 強くは見られたいです、私も。
根本: 頑張って強くみられるようにしてるんですけど、結果、こいつ何言っても大丈夫みたいになってるんで、それで傷つくみたいなこと多いです。
みさこ: でもそれ良いことだと思うんですけど。みぃちゃんなら何でも言えるって思われるのは、相手の本心が聞けるから。だからいつも怒られます。怒るなら、とりあえず、みさこみたいな。
根本: 怒られたらどうするんですか?
みさこ: ごめん!って言います(笑)
根本: (笑)でも、間違えたら謝るって大事ですよね。
みさこ: バンもん!だとリハでも指示するんですけど、ダンスのフォーメーションとかは、汐りんとかみゆちぃの方が詳しく把握してるから、ダンスが得意なメンバーが立ち位置は仕切ってくれて、いい感じで役割分担できてます。ディアステさんはお客さんとして何度も行ったりはしてないんですけど、やっぱり、いろんな人がいる。ザ・ヲタ芸というヲタ芸が見れたりもして面白いですよね。
根本: 私、2年前くらいに明日ご飯食べるお金もないくらいになった時に、日払いのバイトを探して、メイド喫茶で働いてたんですけど、すごく楽しくて、結果、メイド喫茶の裏側を題材に一本芝居を書いたんです。女の子ばっかり集まって、しかも19とか20とかの子ばっかりで、面白かったです。
みさこ: えー!それも観てみたかった。そうなんですね。最初、メイド喫茶とかが出来立ての頃にリアルに気にしてた人だったんですけど、途中から段々、キャバクラみたいになってきて(笑)怖いなって。
根本: 最初は行く人しか行かない感じでしたよね。
みさこ: 本当にオタクの人が働いてる女の人を見に行く感じだったと思うんだけど。
根本: 冷やかしのお客さんとかもいて、そういう人が来ると、いつもいるオタクのお客さんがメイドさん達を守るっていう絆が生まれてることとかもすごく面白くて。
みさこ: 絆ってありますよね。お客さんが守ってくれるのでいうと、かまってちゃんで、の子さんが不安定な時にファンがフォローしてくれたり。お母さんみたいな(笑)バンもんはバンもんで、現場で悪さをするような人はつま弾きにあったり、その代わり新しく見に来た方には、普段見に来てる人がいい席を譲ってくれたりとか。本当に優しいんです。守られてるなってすごい思います。
根本: それも生だからこそですよね。みんなでライブを楽しもうっていうスタンスが。
みさこ: 下手に彼氏がいたとしても、普通の彼氏じゃやってくれないレベルのことをファンの方々はやってくれて。サプライズとかもしてくれたり。例えば、私も二次元が好きで、アイドルはまだコミュニケーションが取れるけど、二次元に関してはそれすらないのに、ファンだからグッズとか買っちゃう。その人がいてくれるだけで有り難いから、何でもしちゃう。いるだけで元気をもらってるっていう感覚。
根本: そこに熱を注ぐことで保たれる何かがあるんですよね。でも、いつも公演に来てくれる人とかで、「今日は彼女と来ました」とか言われると、嬉しいのと同時に、ちゃんとした生活があって良かったって安心したりしますね。ちなみに、恋の話とかは大丈夫ですか?
みさこ: 大丈夫です。大体はもう出てるので(笑)
根本: 私は、ダメ恋愛モノのお芝居を書くことが多くて。何だろ、実際でも、自分の方がお金を出してたりとかするんです。だから最近、すごく優しい人に会った時に、優しさが信じられなくて、絶対嘘だ!みたいな被害妄想炸裂みたいな。それは恋愛関係とかじゃないんですけど、すごく良くしてくれるから、そんな訳ないって思っちゃって。つい、この間までやっていた芝居は、私は根本役をやっていて(笑)
みさこ: えー!自叙伝劇みたいですね(笑)
根本: はい、私戯曲みたいな。ダメな人との話だったので。そんな優しい人なんていないって気持ちになっちゃってます。信じない!みたいな。
みさこ: これは恋愛とかじゃないんですけど、私のことを好き好き言ってくれる人に対して、そういうことが今までなかったから、どう対処したらいいか最近まで分からなくて、ありがとうしか言えないんです。ちゃんとその人達に愛してくれてありがとうっていう愛を伝えることが大事だなって最近すごく思います。ちなみに、自分から好きにならないと好きにならないタイプですか?
根本: 自分から好きになる事の方が多かったんですけど、そんなに好きにならないというか、会ってから1年とか経ってる人と付き合うことが多くて。
みさこ: 私もそれぐらい経ってないと絶対、恋愛は出来ないなって思います。でも大人になって気付いたけど、意外とみんなあるんだなって思いました。顔が好きから入るっていう人とか。顔が良い人より、性格が合う人。私は完全にそうで、1年くらい一緒にいると、かわいく思えてくるというか。顔の好みはちゃんとあるんですけど、それが恋愛に発展するかというとそういうわけじゃないので。ちなみに付き合うと長いんですか?
根本: そうですね。2年とか2年半ぐらいは続きます。1、2ヶ月とか短期間で駄目になるとかはないです。付き合うまでが慎重です。
みさこ: 私もです。付き合うまでも付き合ってからも慎重です。恋愛観は似てるかもしれないですね。でも私は貢いだりとかはしないですけど。
根本: 私もそんなにお金を払っているわけではなく、さりげないところで、何かしてあげてしまったりして、それが当たり前になってきちゃって、有り難みがなくなって、してくれて当たり前みたいな存在になってきちゃって。
みさこ: それなんなんですかね!全員が全員じゃないですけど、男性ってそうですよね。
根本: この前の公演は、浮気された末に、大喧嘩して破局する話だったんですけど、「掃除してくれたり、洗濯してくれたり、ご飯作ってくれたり、洗い物してくれたり、洗い物はたまに俺もしてたけど、ありがとう」って怒鳴って帰って行くシーンがあって、洗い物をたまにしてたってことを言う人だったんですよ。
みさこ: うわー。腹立つ。
根本: それが一番ムカついて書いたんですけど、お客さんがそのシーンで笑ってくれたので、消化された気がしました(笑)
みさこ: 消化しないとやっていけないですよね(笑)付き合ったら一緒に住む感じなんですか?
根本: 相手にもよるんですけど、その人は長く一緒にいると思ったので、住んじゃったんですけど、いなかったですね(笑)
みさこ: 私もどっちかと言うと一緒に住みたいというか、主夫とかと結婚したいです。おうち帰ってきたらいるみたいなぐらい、そばにいてくれないと嫌です。
根本: 私もそうです。でも常に家にいる人は、駄目な人の場合が多いですからね。
みさこ: でもそれで家事やってくれたら、めっちゃいいですけどね。プーでもいいです。でも大前提として、私がそれだけ稼げてたらなんで、今はお金がないから、絶対にそれも考えられないし、いま全然、恋愛するつもりもないから、もし結婚するならの話ですね。
根本: 私も一緒ですね。2人が生活できるくらい私に稼ぎがあれば、優しくていい人なら、それがいいです。
みさこ: プライベートより仕事優先って今も思っちゃってるんですけど、かまってちゃんを始めて間もなくて、バンもん!とかもやってない頃に、これは駄目だなって思ったのが、いっぱいいっぱいだった時に彼氏の誕生日を忘れた時があって、それも二年連続で(笑)
根本:(笑)
みさこ: すごくないですか?誕生日忘れるって相当じゃないですか?さすがにそれは申し訳なくて泣いたんですけど(笑)
根本: 私もそうですね。芝居よりも大事な人はいないというか、大事とは思えないので。
みさこ: それでいいと思ってくれてる人じゃないと、いつか恋人ができたとしても。でもさすがに誕生日を忘れたのはマジでごめんと思いました。誕生日はお祝いしたかった、本当は。
根本: でも忘れちゃいますよね。いっぱいいっぱいになると。
みさこ: でもそういう時に支えてくれる人がいたら、いいなって思います。私は、基本的にはネガティヴなんです、どっちかと言うと。「ポジティヴなみさこさんに元気もらってます」って最近よく言われるのは嬉しいんです。そう見られてるのがすごく嬉しいというか。ネガティヴですけど、前向きには生きたいので。
根本: 私も、前向きだと思ってくれて、芝居を観て元気を貰ったとか、自分が悩んでいたことが些細なことに思えたって手紙を貰うとすごい嬉しいです。こんな超ネガティヴ女にそんなこと思ってくれる人がいるんだっていうのが。私が悩んでいたことをコメディにして、それで笑ってくれたらそれが嬉しいです。
みさこ: トラウマレベルに辛かった事を人のために消化できたら嬉しいですよね。
根本: 報われた感はありますよね。
みさこ: あの暗い思いは無駄じゃなかったんだって。私は中途半端で、すごく辛い思い出というのはなくて、両親も元気だし。あるとしたらいじめにあったくらいだけど、今は、いじめたことがあるか、いじめられたことがあるか、どっちかしかないくらいみんな経験してると思うし。だから、そんな暗い感じではないけど、人と違うのが辛かった時期はありました。小学生の時とかは、考えてることが他の人と違い過ぎて。でも、他の人より頭が良かったというわけではなかったので。むしろその逆で。自意識は強かったし、今は、みんなと考え方が一緒というわけじゃなくても他の人を理解しようってすごく思ってるからどうにかなってるけど、小学生くらいの時って、理解しようもなくて、周りはみんな嫌いでした。たぶん小学生の頃が一番荒れてました。私が人を受け入れてないから駄目だったんだなって思えたのが、中学2年生くらいで。みんなが同じ事をするのも分かんなかったし、みんなと違う事をしようとする人も理解できなかったし、私だけありのまま過ぎて。担任の先生は知的に障害がある子と思っていたみたいで。協調性がないと書かれる子でした。
根本: 私、すっごい頭悪かったんで。超勉強できなかったんです。
みさこ: そうなんですか?全然そう見えないですね。
根本: テスト用紙の裏に、各先生への手紙しか書いてなかったです。最近あった面白いこととかを書いて、点がもらえないかなって思って。すごい嫌いな先生の科目だけ勉強して、こいつには馬鹿だと思われたくないと思って。
みさこ: それは捻くれてますね(笑)好きな先生の科目を頑張るんじゃないんですね。
根本: 好きな先生には手紙を書いて、嫌いな先生の科目は頑張ってました。歴史の先生が一番嫌いだったんですけど、歴史だけ出来ました。
みさこ: それは捻くれてますね。私はそこまで捻くれてなくて、単純に嫌な奴だっただけで。
根本: 入院してる期間が長かったので、あんまり学校に行ってなくて。中学、高校と車椅子だったんですよ。中1の途中で怪我して。モーグルの選手になりたかったんですけど、学校の競技会で怪我をして、モーグルは絶対出来ないってその時に言われて、5年間、車椅子だったんで、その時に捻くれたんです。
みさこ: 辛い。そうなんですね…。それは捻くれますね。
根本: 母が元々、お芝居を観るのが好きで、モーグル出来なくなったので、何か趣味を植え付けようと芝居に連れて行ってくれて、大人計画の芝居を観たのが演劇を始めるきっかけなんです。
みさこ: モーグルの選手になりたかったんですね。
根本: 全く想像つかないですよね。小1から中1の怪我するまで続けてて、さすがに選手になるのは雪国に生まれないときついので、現実的に考えて、インストラクターにはなれると思ってたので、あまり他の将来は考えたことがなかったんです。
みさこ: それは、人生大きく変えなきゃって思いますね…。
根本: はい。あと、モーグルできないのは一番辛かったんですけど、くだらない辛かった話が、当時SMAPが大好きで、コンサートに行ったんですけど、車椅子で立てないじゃないですか?みんなが立ったら見えなくて泣くっていう(笑)
みさこ: それ悲しい!そうだったんですね。そういうのあるかな。人生大きく変わったことって、そんなになさそう。私、大学卒業して、営業で普通に働いてて、音楽は趣味でいいかなって思ってたんですけど、かまってちゃんの大きなライブが増えて、有給休暇が取れなくなって辞めたんですけど、保険会社の営業ウーマンだったんで、チャリ漕いでました。私が車の免許をとったら人を殺すか自分が死ぬかと母に言われて、その通りだと思ったから免許は取らずに(笑)
根本: (笑)
みさこ: でも、基本的に必要に迫られたわけでもなければ、自分から大きく変えようと思ったわけでもなくて、点と線で繋がってる人生を今までは送ってきてる気がします。人が必ず声を掛けてくれて、それに着いてきました。完全に巻き込まれ型で、最初に音楽をやろうと思ったきっかけは、友達が吹奏楽部に誘ってくれて、人が少ない打楽器に回されてって感じだったし。かまってちゃんも別の人と2人でメンバー募集してたところに、の子さんが連絡をくれて、もちろん神聖かまってちゃんのことも知らないし、常連のお客さんも当時2人くらいしかいなくて。好きなアーティスト欄に、平沢進さんとか、菅野よう子さんとか、植松伸夫さんとか、それに椎名林檎さんとか邦楽ロックも書いてて、こんなんで趣味合うやつおらんやろ!って思って、でも行ったら合った(笑)
根本: すごい巡り合わせで今があるんですね。
みさこ: 会ったら会ったで様子がおかしかったし。の子さんとmono君と最初会ったんですけど、の子さんが、何言ってるか分からないレベルの饒舌モードでずっと喋ってるのに、mono君はずっと一言も喋らなかったんですよ(笑)
対談の待ち合わせの喫茶店に入ってくるやいなや、「あ、これよかったらー!」と天使のような笑顔と動きで私なんかに、かまってちゃんとバンもん!の新譜をくださったみさこさん。もう本当にすべてが神対応過ぎて、こんなにも話しているだけで幸せな気持ちになれる人がいるんだ!と、この世の最下層に位置する私は感動しっぱなしでした。話していくうちに本当にエンターテイナーとしての意識がいつもちゃんとあるんだなとわかり、同じ作り手としてとても刺激になる対談でした。
帰り際、私に、「一緒に売れましょう!」と言ってくれたんですが、「いやいや、みさこさん、すでに売れてますから、私なんかと一緒じゃないですよ!(笑)」と返したんですが、でもみさこさんの「売れる」はもっともっと上にあって、毎日かまってちゃんとバンもん!をより多くの人に知ってもらう努力を惜しまない方なんだなと感じ、別れ際にますます好きになってしまいました。
私が男子なら最も付き合いたいタイプです。見た目も中身も(笑) 気持ち悪すぎるなこのアフターコラム…。
当て書きするなら、
「トイレの清掃員か、学校の給食を配る人の役」です。
なんかとても割烹着を着てほしい…。
作・演出:岩松了
東京公演
大阪公演
名古屋公演
神奈川公演
⇒詳細は[公式WEB]にて
神聖かまってちゃん『英雄syndrome』
10月14日(火) 広島 CLUB QUATTRO
⇒詳細は公式サイトにて
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