プールイ: でも、舞台って、男性も出演するわけじゃないですか。キャスティングとかして。毎日、稽古するじゃないですか。好きになったりとかしないんですか?
根本: 自分が演出してると、嫌われ役なんで、いろいろ言わなくちゃいけなかったりで。ただ、自分の座組みの中で、違う男女が付き合うとかならありますよ。
プールイ: それ、どういう目線で見るんですか?
根本: もう呼ばねーぞって(笑)
プールイ: そうなんですね(笑) やっぱり嫌なんですね?
根本: いや、座組みに迷惑かけなければ、全然いいんですけど。たまに女優さんとかで、喧嘩したから稽古に遅刻するみたいなこととかがあると嫌です。でも1ヶ月みっちりいるんで、そういうことにはなりやすいですよね。
プールイ: そういう恋愛、気になります!!私、女社会で生きてたので。私、中高大と女子校に通ってしまったんですよ。なぜか。
根本: 私もそうです。小中高と。
プールイ: 本当ですか?
根本: あの学校に通ってなかったら作家になんなかったくらい変な女が多かったです。
プールイ: でも多いですよね。極めた変人が多いですよね、私立って。やることが勉強以外にあるから。エスカレーターだし、勉強しなくていいじゃないですか。だから趣味とか遊びに熱を注いだオタクが多いですよね。
根本: そうですよね。話戻りますけど、私は座組みの人と付き合うことはあまりないですね。次に共演することのこととか考えちゃって、あんまりないですね。
プールイ: そうなんですね。
根本: あと、男の演出家はモテそうってイメージあると思うんですけど、演出家は男の人の方がやりやすいっていうのはあります。女優さんにカワイイって言えば、女の子は気分が乗るし。
プールイ: でも、演出家って言われるとおじさんを想像しちゃって、若手の方が出てこないからイメージが湧かないです。
根本: 小劇場だと若い演出家はいっぱいいますね。
プールイ: すごく興味あります!元BiSのウイぽんという子が舞台女優やってて、その子も言ってたんです。舞台はずっと一緒にいるから恋愛多いよって。面倒くさいよって。その面倒くささを一回体験してみたい。
根本: じゃあ是非。
プールイ: そんな目的で行っていいんですか!?(笑)
根本: でも、私がそういう面倒くさい女優さんというか、座組みをかき乱しそうな人をなるべく選ばないようにするので、あんまりいざこざは起きたことないです。私が客演もしたりするので、他に出た時にいざこざを目撃することありますね。
プールイ: でも私が舞台を1ヶ月やったとして、誰とも仲良くならない自信があります。コミュ障なんですよ。ポツンとしてます。話しかけられたりすると、特にこういう(今回の主演の)D-BOYSとかいう肩書きの人に話しかけられたりすると、何か裏で企んでるんじゃないかとか考えちゃうんですよ。こんな人が私に話しかけてくるなんてって。だから仲良くなれない…(苦笑)
根本: 私も全部の発言を嘘だと思って一緒にいます。すっごいいい子なんですよ。絵に描いたような。そんなわけないだろうって(笑)
プールイ: そうそうそうそう。顔も良くて、性格も良くて、演技も出来て、じゃあ私、生きる価値ないじゃないかって。嘘だって思っちゃう。
根本: いや、でも案外普通にいい人なんですけど、考えちゃいますよね。
プールイ: 『2LDK』という舞台を前にやった時に、私だけペーペーが混じらせてもらって。福田彩乃さんとか、足立梨花さんや私の相手役の久住小春さんや、今を時めく若手の子がたくさん出てて。本当に肩身が狭くて。みんな優しくしてくれるんですよ、初めての舞台だし。「BiSの曲聴きました」とか、嘘だぁって思っちゃって、輪に入れないですよ。ご飯とか誘ってくれても、行っていいのかなって。私が行って、場が暗くならなったらどうしようとか考えて避けてしまったり。仕事と別の友達はいても、仕事で知り合った人で友達はいないです。知り合いは多いんですけど…。
根本: 2人でご飯行くとか?
プールイ: 無理無理!絶対に無理です…!(汗)元BiSのコショージとかはすぐ仲良くなって、2人でご飯とかに行ったりとか。ウイぽんとか、サキちゃんもそうなんですけど。私は誘わないし、誘われない。怖いんですよ。2人で沈黙の時間とかあったら、私はこの人の貴重な時間を無駄に過ごさせてるって考えちゃって。
根本: 私も行かないですね。演劇の人って呑むのが好きな人が多くて、稽古後にお酒呑みに行くパターンが多いんですけど、私はお酒も呑まないので、初日の打ち上げまで全員と呑む機会とかなくって。たぶん珍しい劇団ですね。あと、打ち上げでトイレでチューする奴とか嫌いです。
プールイ: えー!憧れます。自分が出来ないんで憧れます。私、ビッチに対する憧れがすごく強くて。
根本: 確かに、そういう風になれたら楽しいでしょうからね。
根本: 実は、今回の公演は実話ベースで。嫌いな女の話なんです。わりといつも等身大の話が多いんですけど、今回は、私も私役として出てます。
プールイ: えー。観たいです!
根本: 昨日、初めて全シーン通しての稽古だったんですけど、みんなやり終わって「なんなんだろうこれ」って(笑)わりと新しいことがやりたくて、今、小劇場ブームというのが一度去ってしまったので、あまり劇場に足を運んでもらいづらいというか、お芝居を観る人口が減ってるので。私も面白いことをやれてればいい派なので書いたんです。
プールイ: 観たいです!お芝居は苦手意識はあるんですけど、お芝居自体には興味があるので。バンドのヴォーカルになって、MCもアイドルとは違うことを求められたりとかするんですけど、照れちゃって。演じることに対する恥ずかしさというか。今まで自分を曝け出す手法でやってきて、真面目なことは茶化して、笑いを混ぜて言っちゃうタイプだったので。バンドのヴォーカルって、ちゃんと言葉で伝えて、ファンの人が感動してまた来るという形がある。そこが課題でもあるので、お芝居が上手くなればそういうのも、もっと出来るんだろうなって。歌を良くするためにやりたいと思う事はありますね。
根本: 私の場合、女優さんは特に当て書きなので、みんな自分に近い役が多いかもしれないです。遠いところは振らないようにしてます。
プールイ: 昔付き合ってた人で、すごく不思議な人がいるので、その人の話を今度するので、是非、劇にしてください。是非、その時は主演で(笑)
根本: 最近、自分のことをよく書いたりするせいで、いろんな人に「こういう人がいたんで書いて下さい」ってよく言われます(笑)でも、基本的に、嫌いとか怒りとか復讐心とか「負」の気持ちが、書く力になってるんです。
プールイ: 私も同じです。原動力は、見返してやるとかそっちが多いかも。ハッピーな気持ちではやらないです。
根本: すべてがハッピーになっちゃったら、私どうなっちゃうんだろうと思って。
プールイ: すべてがうまくいっちゃったら?その時はハッピーなものを書くんですかね~(笑)
根本: サザエさんみたいなのを書くんですかね(笑)
プールイ: (笑)そういうのも観てみたいです。でも同じですね、BiSも怒りから組んだグループなので。性格が悪いんだと思います。基本的にねじ曲がってる。褒められるのは好きなんですけど。
根本: 私もです。卑屈さには勝てないですよね。舞台初日の喜びのためにやってる。
プールイ: 達成した時は喜びはありますよね。ただ、原動力が見返してやるってことであって、常に怒ってるわけではなくて。楽しいこともありつつ、嬉しいこともありつつ。でも、100キロマラソンとかも最後のあの瞬間が快感なんですよね。大人の思う壷だけど、そんな自分も嫌いじゃないから困るんですよ。素直じゃんって(笑) アイドルは素直じゃない子は伸び悩みますね。脱退する場合も、みんな疑問を持って辞めていくんですよ。言われたことが私のやりたいことと違うなとか、そういうのが積み重なって辞めていくので。
根本: 女優さんとか、俳優さんも疑問を持たない人の方がうまくいきます。私の書くものは、コメディと言えばコメディのお芝居なので、今回、押されて転がっちゃってパンツが見えるっていうシーンがあるんですけど、そんなにパンツ見せて転がらないよってところでも、敢えて見せた方が面白いからそう書いてるんですけど、それをやる女優さんは何の疑問も持たないで存分にパンツを出してくれるから面白い。「ここで転がってパンツを見せるのは嫌だ」とか「こう見られてるんじゃないか」という意識を持っちゃう場合はうまくいかなかったりします。
プールイ: 女優さんとアイドルは似てるかもしれないけど、女優さんと違って、アイドルはやったところで売れるかってのが分からない。どれだけ信じられるかどうかだと思います。信じる才能ってのは要りますね。ソロになった時、馬鹿じゃない方がもしかしたら成功するのかもしれないですけど、アイドルとしては馬鹿な方がいいのかもしれない。お尻叩かれて走っちゃうみたいな。ただ、不思議なのは、『プレイボーイ』の撮影で「人拓」をやった時に、全身に墨を塗るために、ニップレスもない全裸状態にならなくちゃいけなくて、遠くにスタッフの方とか渡辺さんが居て、見られてる。それは嫌だった。屈辱でしたね。だから隠してもらいました。後で写真として見られるのはいいんですけど、その場で、(乳首を)見られるのはすごく嫌だったんですよ(笑)
根本: 私、(プールイさんの)体型も好みというか。抱き心地が良さそうで。
プールイ: ぬいぐるみみたいですよね(笑)
根本: いいな、変えて欲しいなって。胸が無さ過ぎて、衣装合わせでいつも衣装さんが困るってのがあって、見せたくないのに、ブラジャーもカパカパなので、見えちゃうみたいな。舞台上で無駄に出したくないから、私だけ下にインナーを着なきゃいけなかったりして。
プールイ: ユニクロのブラトップとかはどうですか?
根本: カパカパ…。
プールイ: Sサイズでも?じゃあ、サキちゃんに聞いときますね。
根本: (笑)
プールイ: ニップレスはいいです。オススメです。
(そろそろ対談終了の時刻と告げられ。)
根本: ニップレスの話で終わっちゃう…(笑)嫌いな女がどんな女かだけ聞いておいていいですか?
プールイ: うーん…ずる賢い人が嫌いです。あと理屈で考える人があんまり好きじゃない。本能のままに行動したい。私は、結果のために行動するんじゃなくて、行動して結果がついてくればいいとか、行動してる姿を見せることに意味があるっていう考えで、その姿を見て人が動いてくれたりとか、そういうのが好きなんです。だから最初から結果を求めて、これはこうだからやらない方がいいとか言われちゃうと「は?」と思う感じはあります。あとは、あざとい女の人。自分が出来ないので。上手に男を落とせる女の人とか憎いですね(笑)
根本: さっと、くっついたりする人いますからね。
プールイ: あと、萌え系のアイドルとか苦手です。秋葉系の萌えが苦手。
根本: そうなんですね。自分がやるのも?
プールイ: 無理です。ギャグでやるならいんですけど。「爆」「藁」みたいな感じでやるのはいいんですけど。
根本: 一番辛かったPVは『アイドル』だったんですよね?
プールイ: そうなんです。恥ずかしい。イチゴは美味しかったからいいんですけど。何でカメラ見ながら、イチゴ食べなきゃいけないんだろうって。高いイチゴだったから美味しかったですけどね。それを楽しんでやってる人というか、「私、カワイイ」みたいにやってる人を見ると、「そうですね、かわいいですね〜」って顔になります。遠い目みたいな(笑)
根本: そういう人ばっかりが出てくる芝居です。
プールイ: 本当ですか?じゃあ、似てるんですね、嫌いなタイプが。私、男の人もどうしようもない人が好きだったり。たぶん幸せになれないタイプです。
根本: 分かります。幸せにしてくれる人と居ちゃったら書くことがなくなっちゃいそうで、それも怖いんです。何か事件が起こると面白いと思っちゃうんです。
プールイ: そう!面白いと思っちゃう。悲しさもあるんですけど、半分は、こんなドラマみたいなことが自分に起きてるみたいな。どうなるかを見たい、行く末を。
根本: (笑)結末を見ないことには終われないですよね。
プールイ: しかも、こういう仕事をしてるから何かのネタになるかなって思っちゃう。ワーカホリックですね(笑)でもやっぱり似てますね、持ってる暗さが。
根本: たぶんそうだと思います。
プールイ: 武道館の出禁もどこか嬉しかったですからね。出来ないことはすごく悲しいんですけど、うわっ!これでまたひとつ伝説じゃんって思って。武道館に出れない奴とかいるんだって(笑)
ドキドキのまま初回の対談が終わりました。
この対談、わりと早い時間に行ったんですが、朝からかわいい大好きなアイドルを目にして、こんな私に1時間も時間を割いていただいて、でも1時間で「この辺で」と止めに入るマネージャーさんに「やだー!!このあとお茶とか行って、二人でパフェとか食べたいー!!」と駄々をこねてやろうと思うほどに、(もちろんそんな勇気はないので「時間です」と言われればすぐに切り上げましたよ、私は。)もっともっと喋っていたくなる方でした。あと、いい匂いでした。
で。このアフターコラムは、アイドルさんと対談してみて、そのアイドルさんに私が役を書くならばどんな役を書くかっていうコラムなんですが、今回のプールイさんには・・
「引っ越し屋のアルバイトをしてて、バイト中、人の家の物の匂いを嗅ぐ趣味がある女の子の役」です。
なんだこれ、怒られるかな大丈夫かな。(笑)
でも、プールイさんはお話してみて、私と似た卑屈さをいっぱい持ってる方だという事がわかって、だから役が当て書きしやすそうで、すごく一緒にお芝居がしてみたくなりました。出てくんねーかね。(笑)
プールイさん、初回で、ほんとに誰だかわからない私と対談してくださって本当にありがとうございました!!
作・演出:根本宗子
公演日程:2014年8月22日(金)〜31日(日)
⇒詳細は[公式WEB]にて
定価:¥1,500(税込)
破天荒アイドル・グループBiSの元リーダー、プー・ルイやサウンド・プロデューサー、松隈ケンタ他が参加する異色バンド、LUI◇FRONTiC◆松隈JAPANのセカンド・ミニ・アルバム。楽曲制作は前作に引き続き、アゲハスプリングスと松隈が強力タッグ。トータル・プロデュースに渡辺淳之介も参加する、プー・ルイのバンド・プロジェクト第2弾。©RS
・オリコンアルバムデイリーランキング初登場5位!(8月19日付)
ぐるぐる回る2014
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